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『眠れる森』-伊藤直季という男 [拝啓 野沢尚さま]

……だから約束です。
十五年目の今日、僕たちの森で……眠れる森で逢いましょう。

―『眠れる森』のキャッチともいうべき、この一文。

幼い頃、伊藤直季が、
決して逢ってはならない大庭実那子へ宛てた
密かなラブレターだ。

十五年もの間、正体を明かさず、
実那子の平穏を見守りつづけた直季。

独り列車の中で、目を閉じ、涙が流れ落ちたあの瞬間、
【死】を目前にして直季は何を思ったのだろう?
実那子との思い出だろうか?
思い描いていた実那子との未来だろうか?

―「名前も仕事も、友人も恋人も、全部捨てて新しい自分になりたいって思ったことない」?

再会した実那子に、直季は言った。

―「未来だけでいいんだよ、実那子には」 

悲惨な過去、過去の罪深い過ち。そんなものがあっても、とにかくその人生を生きろ。
野沢さんのファンは皆、そのテーマを受け継ぎ、
それぞれの人生を、それぞれのペースで走っているんだと思う。

野沢さん。
僕の脚本は、相変わらずですが、今日も細々とやってみます。
話は変わりますけど、自分が楽しみにしているブログが更新されていないと、
少しがっかりな気分になるものですね。
直季の真似事なんて、とても出来ないけれど、
誰かの事が気になり始めると、
ちょっと気恥ずかしいやら、
でも、計り知れない活力を与えてくれます。

偶然の鉢合わせや、
すれ違いのちょっとした間も、愛しいと思えるのです。

あ、なんだか不思議と……、
『呼人』が無性に読みたくなってきました。

……それでは今日はこの辺で。






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