西新宿 #40

GR Digital II

少し前に撮った写真ですが、この時の事を思い出しながら、、、

http://www.flickr.com/photos/gyaro/5171568860/
http://fotologue.jp/#gyaro/entry/12768919


この日の昼間は何カ所か回って、最終目的地がここ西新宿だった。
いつも歩いている見慣れた街なのに、とても緊張したのを覚えている。
しかも、それまでずっと晴れてたくせに、最後の最後で雨が降ってきた。
僕は傘を持つことになった。
いつもは折りたたみ傘を必ず持ち歩いているのに、
こうゆう時に限って家に置いてきているというのも、我ながらドジだと思った。

「アタシじゃなくて、カメラ」
真横に立つ僕に、彼女はそう呟いた。
慌ててその頭上にビニール傘をかざす。
僕の真横には雨に濡れながらファインダーを覗く彼女の横顔があって、
傘の下には、心地よいシャッター音を奏でる CONTAX645 があった。

被写体を歩かせる。それに合わせて後退していく。
その歩幅に合わせ、僕も移動する。
できるだけ気配が消せるようにと、呼吸も止めた。
ファインダーを覗きながら、他には目もくれず後退する。
僕は転んでしまわないようにと、余計な気を回してしまい、

「アタシじゃなくて、カメラ」と、また言わせてしまった。

カメラを手にした人間にそれを言わせてしまうことが、
どれだけ負担になっていたのか、
勝手な解釈ながら、僕はのちのち理解することになる。

この日に限らず、
Kさんは、大事な撮影をこなしながら本当に色んなことを教えてくれた。
それがどれだけ面倒な事なのかは、
逆の事をやってみなければわからない。
いま思うと、よく使ってくれたものだと感謝している。


その夜は、あえて昼間の場所を通って帰ろうと思った。

もっとも、こんな日は GR しか持っていない。
三脚だってもちろんない。
間がいいのか悪いのか、雨はとっくにやんでいた。

ISO 80、F9。
なんとか安定しそうな場所にGRDⅡを置いて、
タイマーでシャッターを切る。

30秒間、昼間の事を思い出しながら、
呼吸を止めている自分に気づいて、なんだか可笑しくなった。




*** fotologue3 ***
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ブログにアップすると、いろいろ書きたくなってしまう写真だったので、
載せてませんでしたが、この写真はそんな写真です。

御世話になったKさんには、
もう少しまとめていい報告が出来ればと思ってます。

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